早期教育とは


早期教育(そうききょういく)とは、子供本人ではなく保護者や国家など大人の意向で、一般よりも年齢を繰り上げて文字や数、外国語、音楽、スポーツなどの教育を開始すること。韓国や中国[1][2]でも早期教育は大変盛んであるが、本項では主に日本の早期教育について述べる。

 

早期教育は、脳が柔軟なうちに子供の知的好奇心を促進し、高い吸収能力や順応能力を持つ幼い間に教育を開始することで脳の活性化を高めれば、「優秀な」人間に育つという理念に基づいている。そのため脳科学や発達心理学と非常に深い関係がある。早期教育によって将来の可能性を広げる、十分な基礎学力を得ることによって落ちこぼれを防ぎ子供の自尊心を高める、年齢や達成度という枠に囚われずに自由に教育を受けることができる、といった利点がある。学習面に限らず、独創性、社会性、情緒性を高めるための教育も含む。

また早期教育はエリート教育、ギフテッド教育と重複する部分も多い。

 

★エリート教育

 一流といわれる大学・大学院入学を目指す教育指針であるとともに、トップ・アスリートや一流の音楽家になるための訓練など、学業以外の分野でも広く行われる。特定の大会で優勝する、特定の職業に就く、特定のライフスタイルを獲得するなど、目標達成のためにその道の専門家について集中的に教育・訓練を受けることを意味する。結果的に一般よりも早く進級したり修了することはあるが、早期教育より目標達成に重きが置かれている。実際には五嶋みどり、タイガー・ウッズ、室伏広治など幼少時からエリート教育を施されるケースが多いため、早期英才教育とも呼ばれる。(詳しくはエリートを参照)

 

★ギフテッド教育

 ギフテッドと診断された子供用に開発された特別支援教育の一種である。常に知的好奇心が旺盛で通常の学級では物足りないギフテッドの子供は次々と与えられた課題をこなしていくため、結果的に学年より先のレベルに到達することが多い。これは知的刺激を渇望するギフテッドが進んだ学習内容を必要としているために与えられるもので、教育熱心な保護者主導で幼児教室に通わせたり、業者の教材を子供に買い与える早期教育とは一線を画する。またギフテッド教育は学習面だけでなく、ギフテッドゆえに持つ独特な心理的・社会的問題を解決するための支援教育という別の面も持っている。

 

出典: ウィキペディア


早期教育の種類

様々な種類があるが、日本では早期教育と言うと、主に「超早期教育」と「幼児・就学前教育」を指すことが多い。

 

★超早期教育

 脳に刺激を与えるような活動を通じて行う胎児や乳児の教育

幼児教育・就学前教育 - 小学校に就学する前に文字の読み書き、計算、外国語などの教育を施すこと。子供にとって親の読み聞かせや遊びも教育であるが、そのような日常生活の体験を通して自然に覚える文字や数の概念(体験認知型)ではなく、市販の教材や幼児教室で暗記して獲得した知識(パターン認知型)を指す。とくに乳児の時から英語環境に浸らせたり、小学校の教科に英語を加えるなど、英語については早期英語教育と言う。

 

★早期就学

 諸外国では、小学校の就学年齢を標準よりも1年程度早くしたり遅くしたりする制度を持つ学校もある。早めるだけでなく、入学を遅らせたり、早期就学しても原級留置するなど必ずしも進級という一方向を向いているわけではない。

飛び級・飛び進学 - 学年制の学校で、正規の進級よりも早期に上級学年に移行すること。単純に生徒を上の学年に移すだけであるため、学校・教師側の負担は少ない方法である。

 

★早修

 学年は同じままで、より高度な内容を学習する。飛び級と違って得意分野も苦手分野も上のレベルで学ぶというわけではないため、学校・教師側にとってはカリキュラムを立てる作業が増えるが、生徒にとっては負担が少ない。また学習面では進んでいても、身体面・精神面は同年齢と似たレベルにある子供にも適している。ワークショップ方式では子供一人一人が自分の能力レベルに合った読書・読解問題や計算問題を解かせる。エンリッチメント方式では先に進む学力のある教科について、他の教室で指導を受けたり、別の課題を与えたり、宿題の量や質を変えるなどして対応する。

 

出典: ウィキペディア 


早期教育の内容

★右脳教育

右脳と左脳

 一般に人間の脳には右脳と左脳があり、また、人間には右脳タイプと左脳タイプの2通りがあると言われます。そして、左脳が言語や計算、分析、整理など知的・論理的な思考をする脳で、理論で働く脳であるのに対して、一方の右脳は直感に関係している脳で、音楽や感情、信仰、物事の全体像など言葉では言い表わせないものを受け止める脳だと考えられています。さらに、右脳が発達し、直感力が高まると、左脳も効力を発揮できるようになると考えられています。そして、早期教育論者は、真の幼児教育とは豊かなインプットで大脳の働きを良くし、大容量のデータベースを作るものでなければならなず、それは、脳の成長が著しい時期に行なう右脳開発の早期教育であると、このように言うのです。右脳教育とは、このように早期教育にとって代表的な要素のひとつになっています。

 

★パターン教育

早期教育の教材2 上記と深く関連して、早期教育論者は大脳生理学を理論的根拠とし、「新生児の知的能力は最高で、開発されないと早期に退化してしまう」とか「知的教育を怠れば、知的能力に乏しいぼんやり型の子どもになってしまう」、或は「詰め込み型のガリ勉教育をすると、定年後に早期に惚ける」などと主張します。そのため早期教育機関では、乳幼児の知的教育を遊び中心の右脳を使った教材で行なっているのです。

 右脳教材の特長は、繰り返しの好きな幼児に適し、また覚えようと考えずに同じパターンを繰り返すことにより自然に覚えられるものです。それを「パターン認識」と言うのですが、パターン認識というのはカメラで写す映像のようなもので、そのパターン認識を利用したのものが「パターン教育」です。このパターン教育の特徴は、(1)理屈抜きに見せる、(2)繰り返す、(3)結果は忍耐強く待つの3つにあります。そして早期教育論者は、右脳は容量が大きいので幾らでも覚えられ、また、長くかけて覚えるので記憶が長持ちすると言うのです。また、遊びの形態にしやすく、理屈で理解して覚える左脳教育の教材と比べて覚えるという努力が要らないため脳の負担が少ないとも言います。

 

★カードでの早期教育

ドッツ・カード

上記の「パターン教育」に適切なのがいわゆるカードで、様々な早期教育機関でカードを使った早期教育が行なわれています。特にその中でも有名なのが、ドーマン法で有名なドーマン博士が開発した「ドッツ・カード」で、これは、ドッツ(点)が描かれたカードが1~100まであり、それを1枚1秒程度のスピードで見せてゆくというものです。これを「フラッシュする」と言い、当然この速さに左脳はついてゆけないので、自然と右脳に働きを任せることになり、そのため右脳の働きが優位に働いて一目で記憶する能力が育つのだそうです。


出典: ヤマト生活情報館 


早期教育のメリット・デメリット

<早期教育のメリット>

★乳幼児期における脳への刺激が脳の働きに大きく影響

「3歳頃までに脳に与えられる刺激が脳の働きに大きく影響すると言われています。さらに2歳よりも1歳、1歳より0歳、0歳より胎児というように教育を始める時期が早ければ早い程、天才児になる確率は高くなっていきます。」


★適切な時期に適切な右脳教育を

「人間の脳には右脳と左脳があり、左脳は言語・計算・分析など論理的な思考をする脳で、右脳は瞬間暗記・芸術・空間認識・直感的な思考をする脳だと言われています。


0歳から3歳までは右脳が優位に働き、3歳以降は左脳が優位になるので、右脳が発達する早い時期に適切な右脳教育が必要です。」


★カード教材でのフラッシュ

「カード教材にはいろいろありますが、ドーマンが開発したドッツカードが有名です。それは、ドッツ(点)が描かれたカードが1から100まであり、それを1枚1秒程度のスピードで見せていくというもの。これを『フラッシュする』といい、この速さに左脳はついていけないので右脳に働きを任せると右脳の働きが優位に働いて、一目で記憶する能力が育ちます。」

 

<早期教育のデメリット>

★インプット教育の様々な弊害

一方通行のインプット教育を続けていると、「独り言を言う」「奇声を発して、激しく暴れる」「食欲をなくす」「キレやすい」「壁に頭を打ち付けるなどの自傷行為をする」などの弊害を持つ子どもが増えているという話もあります。 


★脳の機能が発達するわけではない

3歳までに脳の重さが急激に重くなることは確かであるが、神経細胞の網である脳の「構造」ができるだけであって、「機能」が発達するわけではないと言います。


また、脳が未成熟なうちに特定の情報を送り込みすぎると、のちの学習のために残しておかなければならない領域まで使ってしまうのではないかとの意見もあります。乳幼児は感動したり、体験したりする広義の学習活動がその後の脳の発達に影響するのです。


★カード教材を使った記憶の再生は困難

記憶は関連情報などと結びつけてインプットされている場合、再生されやすいのですが、それが不十分であり、しかも覚えるという本人の自覚がない記憶は時間の経過とともに再生は困難になるのではないかと言われています。


★本来の遊びと早期教育の遊びの違い

早期教育も遊びを取り入れた教材を開発していますが、本来の遊びと早期教育の遊びでは本質が違います。遊びは本来、自発的に作り上げていく世界であるのに対し、早期教育の場合は準備された活動を受動的に受け入れることで成立する世界です。また、集団遊びが減ることで協同作業が苦手になる危険性もあり、協調性のない子どもに育っていく危険性もあると言われています。


★自主性の抑圧

早期教育はパターン化され、それに反応するという受け身の学習・訓練が多いと言われています。そのため、子どもは自発性・創造性の領域の発達が抑圧され、受け身的になってしまう危険があります。


★自己肯定感の喪失

親の期待に応える子は良い子で、期待に応えられない子は駄目な子というように自己肯定感が失われたり、大人を喜ばせるために努力するなど自分らしさを失う危険性があると言われています。


■パターン教育は思考力アップにはつながらい

IQを高めるためのパターン教育は、考えずに機械的に答えていくことで、頭の回転は速くなっても、思考力が高くなっていくかは疑問視されています。


■人間性の欠如

早期教育には、「もっと早く、もっと高く、もっと正確に」という基本原則が存在し、目に見える事柄のみを重視し競争原理が働き、目に見えない「心が育つ」過程をおろそかにしているのではないかと危惧されています。


出典: All about


早期教育のとらえ方

★発達段階を踏まえた子どもに見合った教育

早期教育をする場合、それぞれの子どもの発達段階を踏まえて無理なく進めていくことが望ましいと言えます。


★母親同士の競争にしない

「お友達が始めたから」とか「あの子は、もうあれができるから」と他の子と比較し、我が子に過度の期待を押し付け、早期教育が母親同士の競争になってしまわないように気をつけなければなりません。母親自身のための早期教育になっていないか振り返り、暴走してしまわないように心がけるべきです。


★自発的な遊び、集団の遊びも大切にする

子どもはお友達との遊びの中で多くのことを学びますので、早期教育ばかりに走ることなく子どもの自発的な遊び、集団の遊びの時間も大切にし、バランスの取れた生活が送れるよう心がけなければなりません。


★親も子も楽しんで学習する

子どもに早期教育を無理やり押し付けようとすると、子どもの親への信頼感が損なわれる恐れがあります。親子の信頼感は将来その子どもが人間関係を築くための基礎となります。つまり、親も子も楽しんで学習することが基本となります。子どもが楽しんでいるかどうか、見極めなければなりません。


★過度になり過ぎない

あくまでも子どもの成長のための一つの選択肢として、過度にならないように、友達と遊んだり家族と過ごしたりするのと同じレベルで楽しく取り組んでいくことが大切なのではないでしょうか。


出典: All About